村上シンジ 連続ブログ小説 「零」
Posted joe :2012.01.19
11月某日。
都内某所で行われたラジオの収録を終え、家路に着く。
まだ16時を少し過ぎた頃だったと思うが、お天道様も早々にその日の仕事を終えようとしていた。
15万キロ走った車検ギリギリの愛車に、家の方角が同じS子と乗り込み、ある事ない事喋りながら国道246を法定速度の60kmで走って居ると、S子のスマートフォンが「マリンバ」の陽気なリズムを奏で出した。
「テンテケテケテケテケテケン♪」
S子「もしもし俺だけど!あ!Cちゃん!どうしたの? …え? …うんうん…。わかった!ジョーにゃんにも聞いてみてまた掛け直す!」
どうやらマネージャーのCちゃんからだったらしい。
内容は以下の通り。
1.CMのオーディションを受けてみる気はあるか。
2.しかし何のCMかはまだ言えない。
3.ライブ形式のオーディション。
S子「どうするよ?」
僕「ふむ。受けない理由が無い!笑 やろう!」
S子「だな!」
完全にオッサン同士の会話だが、そんなことはどうでもいいのだ。
僕らは二つ、いや、一つ半返事でOKを出した。
J音も同じ気持ちだろう。というかそうに決まっている。
ライブで勝負をすると言うのなら、手前味噌ながら自信がある。自信がないのはトークだけだ。
それに、今の自分達がどの位のものなのかを知りたかったのもある。
そして、出来れば…あわよくば…有名になりたい…。と言うのも無いと言ったら嘘になる。
車内は一体なんのCMなのかという話題で持ちきりになり、討論になった。
そして男も女も忘れ、気の済むまで殴り合った。
それは嘘。
突如目の前に現れた大きな大きな目標。
2011年最後の大仕事だ。
続く