村上シンジ 連続ブログ小説 「零」2
11月某日。
僕らは2011年最後のワンマンツアー「アルバム全部やりますツアー!その4」に向けて、都内のリハーサルスタジオで練習を始めた。
つい数日前に「アルバム全部やりますツアー!その3」がファイナルを迎えたばかりだ。
頭の中コードと歌詞で飽和状態になっている。
自分達が作った曲とはいえ、長い間演奏していないと細かい部分が抜けてしまうのだ。
というか、そんな事よりこのツアータイトルはなんなんだ。
適当すぎる。
思い返してみると、今までのツアータイトルでスタイリッシュな物が一つも無い。
一応三人で頭を悩ませ考えてはいるのだが、いかんせん笑いを追求しすぎた。
英語のかっこいいツアータイトルに憧れたりもしているのだが、逆に「何あいつらカッコつけてんだよ!」とか思われるのが怖い。
果たして僕らはロックなのだろうかと言う疑問が脳裏を駆け巡る。
いやいや、きっとそれこそロックだ。
悩み、迷い、苦しみ、遊び、学び、笑い、その経験全てを心のままにかき鳴らすのがロックだ。
...多分。
話が大分それてしまったので元に戻そう。
容量オーバーの情報を詰め込んでしまっていたので、思考回路はショート寸前。
そこにCちゃんがやって来た。
Cちゃん「オーディションでやる曲が決まりました!
Steppen wolfのBorn To Be Wildです!完コピしてね!」
Steppen wolfのBorn To Be Wildと言えば、思い出すのはアメリカの広大な大地を走るハーレー。そして革ジャン。
有名な曲なので、僕も何度か聞いた事はあるが、覚えて居るのはAメロとサビくらい。
しかもベースパートを集中して聴いた事はなかったので、ほぼ0からのスタートだ。
背中に冷たい物が走った。
オーディションは
明日だ。
続く