村上シンジ 連続ブログ小説 「零」5
少し時間を戻そう。
チャドのお別れ会まで2時間ほど時間に余裕があった。
S子はこれから一時間ほどドラム道場で先生をやらなければならないらしい。
するとS子はこう言う。
S子「今日はジョーにゃんとチャドも参加しなよ!」
俺「えっ何に?」
チャド「......??(英語)」
S子「ドラム道場に決まってるじゃん!折角パーカッション覚えたんだから忘れないうちに!チャドは思い出に!」
俺「えっマジで??いや、やめとくよ!ドラム道場の生徒さん皆上手いから足ひっぱっちゃうし!ねぇ!チャド!」
チャド「そーだ!そーだ!(英語)」
S子「ダメダメ!はい!決定!」
俺、チャド「!!??」
かくしてドラム未経験の俺とチャドは未知の世界に足を踏み入れる事になった。
道場生から「なんだ?このチョンマゲと外人?」と言う視線をビシビシ感じつつ練習パットの前に座る。
今日のメニューは下の通り。
1.シングルストロークの練習
2.ダブルストロークの練習
3.パラディドルの練習
4.譜面を見ながら実際に曲を叩く。
上記の1〜3をテンポ200で出来ればプロになれるとS先生は言っている。
絶対についていけないと思っていたのだが、パーカッションの経験が活かされ、テンポ130位までは付いて行く事が出来た。
リズムが正確だと先生に褒められもした。
チャドも頑張っていたが、いきなり出来てしまうほどドラムは甘くない。
俺「オー!チャド!ナーイス!オッケー!イエース!」
知っている限り英語の励ましの言葉をかけ続けた。
しかし、彼にはそんな言葉は必要なかったかもしれない。
彼は「出来ない」と言う事を恥ずかしがる事はしなかった。
俺なんかは出来るようになるまではなるべく人に見せたく無いと思ってしまう。
それによって自分の成長を抑制してしまった事も多々ある。
さすがテキサス育ち。
デカイ男だ。
羨ましいと思った。
俺に彼のようなストロングハートがあれば、と。
そして問題の4つ目。
実際の演奏である。
S子「今日はBorn To Be Wildを叩きます!」
俺「えっ??」
なんてしたたかな奴だ。
さすが大阪育ち。
これなら教えながらにして自分も曲の構成を覚えてしまえる。
しかし、これは俺にとってもラッキーだ。
今のうちに構成だけでも覚えれば、夜少しは楽になる。
演奏は惨たんたる結果に終わったが、大まかな曲の流れを体に入れる事が出来た。
ありがとうドラム道場。
ありがとうS先生。
続く