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村上シンジ 連続ブログ小説 「零」7

Posted joe :2012.01.28

午前10時。

携帯のアラームが耳元で鳴り響く。

あの「マリンバ」の陽気なメロディだ。


「テンテケテケ......。」


一周目の途中で音を止めた。

細胞レベルで危機感を感じているせいか、寝起きはとてもスムーズだった。

いつもならダラダラとギリギリまで寝てしまう所だが、まるで人が変わった様だ。

昨日食べた焼き鳥が僕のグルメ細胞を活性化させたのだろうか。

となると僕は「トリコ」でお馴染みの「グルメ細胞活性化組」と言う事になるのだろうか。



まぁいい。



即座にベットメイクを済ませ、ベースを手に取った。


パソコンに音源のCDを入れて、再生ボタンを押し、ヘッドホンで聴く。

ベースの音はヘッドホンで聴くのが一番聴き取り易い。


初めて集中して聴く「Born To Be Wild」のベースライン。


1コーラスが終わった頃、僕は慌てて停止ボタンを押した。


「なんだこれ!?思ってたより全然複雑やんけΣ(゜д゜lll)」


そこから5分間程記憶がない。

おそらく絶望感による放心状態に陥ってしまったのだろう。


とりあえずタバコを吸う事にした。


「落ち着け。今までもギリギリの所でなんとかやってきたじゃないか。どうなるにしろ、やれる事をやれる所までやるしか無いんだ。」


僕の頭の中で何かが弾けた。

タバコをすぐに消し、ベースを弾き出す。


何度も何度も聴き直し、弾いて、弾いて、弾き倒した。


約2時間。

右手の指に少しの痛みを感じるようになった頃、ようやくベースラインをフルコーラス理解する事が出来た。


不可能だと思っていた完コピ。


しかし、根気よくやれば必ず出来る。

そして、やらなければ絶対に出来ない。


ただそれだけの事だった。


ただそれだけの事で人生がとんでもなく変わってくる。


だったらやるに越した事はないだろう。


シンプルだが、とても大切な事を思い出せた気がする。



後りの1時間、時間の許す限り練習して体に入れるだけだ。


そしてまたそこからの1時間は記憶が飛んでいる。


まるでタイムスリップしたかのような早さで時が流れて行った。


出発の時間だ。


やれる事はやった。


後はJ音とS子と出すグルーヴを、いつものように楽しむだけだ。




そして戦いが始まる。


続く。