村上シンジ 連続ブログ小説 「零」9
突然の事に驚きとお腹の膨らみを隠しきれなかった。
しかし、もう時間が無い。
腹筋を固め、なるべく呼吸も少なくした。
ライブで忙しい日々が続いていたので、比較的体はしまっていたので、ギリギリセーフ。
いやアウトか。
いや、その中間でギリギリファールと言わせてもらおう。
なんとかなる。
頑張っていてくれてありがとう俺。
そしてJ音とS子の様子を見てみる。
緊迫感はもちろんあるが、とても楽しそうと言うか、ウキウキしている様な感じがした。
僕もそうだった。
不思議な感覚だ。
アルバイトの面接や、ファジコンのオーディションに行く前は「楽しみ」と言う感覚は欠片も無かった。
上手く出来なかったらどうしようと言う不安。
受からなかったらどうしようと言う不安。
まぁファジコンのオーディションの場合は始まったら楽しめたからよかったが。
バイトの面接は何度も落ちたので良いイメージはない。
とにかく、やはり信頼出来る仲間が居る事が大きいのだろう。
八年間同じ景色を見てきた。
楽しい事の方が沢山あったが、辛い事も勿論あった。
その全てが良い経験で、良い思い出になっている。
良い所も悪い所も十分に解った上で一緒に音楽をやりたいと思える仲間だ。
そんな奴らとこれから一暴れしようと言うのだ。
この状況が楽しくない訳が無い。
逆境であればあるほど燃えてくる。
スラムダンクで赤木キャプテンが、「早く全国に湘北と言うチームを見せてやりたい。」と言う気持ちが今なら解る気がする。
悪者見参。
二人が僕に与えてくれる「絶対の安心感」。
それを彼らにも感じてもらえる様に、毎日生きていると言っても過言では無い。
自分的にはまだまだだと思う。
だが、この楽しげな雰囲気を見ていると、少しはそう感じてくれて居るのかなと淡い期待を抱いたりもする。
まぁいい。
さて、やっちゃいますか。
楽屋に置いてあった「コカコーラ ゼロ」を一口含み、ステージへと上がった。
次回感動の最終回!
サービスサービスぅ!!