シンジvs火星2
ジャムは髪の毛も上着も靴も緑色だった。
畑の横に居た割には随分派手な格好だなと思っていた。
しかし、その緑は光合成の為だと言うのだ。
なので、彼等は植物と同じように水と太陽のエネルギーだけで生きて居られるらしい。
髪の毛で足りない分は上着と靴で補い生きているのだ。
畑だと思っていた場所はジャムの花壇だった。
なので、彼等の運動能力は地球人に比べるととても低いのだと言う。
これは進化なのか、退化なのか。
確かにエコロジーではあると思うが、地球のこの時代で生きてきた僕にはとっては「少し物足りない生き方だな」と言う思いが湧いて来る。
もしかしたら地球に氷河期や巨大隕石の衝突などがなければ、僕らもそうなって居たのかも知れない。
長く太陽が出ない中でも他の生命体を食しエネルギーに変えて生きていけるように進化したのが地球の生物。
自分でエネルギーを作るのが面倒だから「誰かが作ったエネルギーをまるごといただいちゃおう」と言う理由もあるかも知れないが。
環境次第で生き方は全く違うものになるのだ。
だが、そこには文化があり、言葉があり、意思があった。
そして、僕の知らない幸せや、悲しみがあるのだろう。
とにかく、「世の中はメチャクチャ広い」と言う事だ。
途方もなく広く、深く、尊い。
結局色々考えてもなんも解決しないし、不思議すぎて、謎だらけだけど、自分がこんな面白い宇宙の一員なんだと思うと、嬉しくなった。
歩きながらそんな事を考えて居たら、ジャムが心配そうに声をかけて来た。
ジャム「どうしたんすか?大丈夫っすか?何考えてるんすか?」
僕「ん?いやいや、エッチな事とかはどうしてんのかなーと思ってね!」
ジャム「ケケケケ!」
ジャムは嬉しそうに笑った。
運動能力が低かろうが、繁殖能力が低かろうが、そこは万星共通で好きなのかも知れない。
続く。